#30 小さな頃から夢見ていた場所へ - PART 2

Originally posted on July 25, 2018


チケットブースを抜けると、小さな広場があり、そしてすぐにグリーンゲイブルスの裏手に繋がります。

 

グリーンゲイブルスでは裏手で敷物を振るうんだったなぁ、とか、アンがクィーン学園に旅立ってしまった日、マリラはどうしようもない寂しさを紛らわすために裏庭を掃き慣らし踏み固め、裏庭にあったミルクやチーズを保存する倉庫のミルク入れを必要もないのに磨いたんだっけ、と裏庭だけを見てすでに感無量です・・・。

 

横道を抜けてグリーンゲイブルスの正面にまわると、私が夢にまで見ていた、素朴な建物がありました。思ったよりも小さく、思ったよりも人気がなく、広々と丘の下っていく丘陵を見渡すように立っている、緑の切り妻屋根の家でした。狭い入り口、大きな窓。玄関の上の部屋。しみじみと見渡していると、70歳前後にお見受けするおばさん3人組がわたしとけいに近寄ってきました。前にNYのときに書いたように、そのうちのおひとりが私に、グリーンゲイブルスには10歳の時以来60年ぶりに来たのよ、と話してくれました。私は、9歳から夢見ていて50歳になって初めて訪れたことを打ち明けると、うんうんわかるわかる、と私の手を取りポンポンともう一つの手で軽く叩きながらうなずいていました。誰もが少女、少年の日があって、そしてここを訪れるのですね。

 

さて、おばさん3人が、丘の下の川を渡ってお化けの森の方に去っていくと、今度はオーストラリアから来た別のおばさん(おそらくおばあさん)が私とけいのところに来ました。(なかなか中に入れません 笑)引退して、ご夫婦で世界中を旅している中で、小さい頃からの夢を叶えるため、ここカナダのプリンスエドワード島に来てこのグリーンゲイブルスを訪れたのだ、ということでした。ご夫婦で旅している話を20分以上わたしに話して聞かせ、そしてなぜわたしがひとりで犬とここにいるのかと尋ねました。わたしがかいつまんで身の上話をすると黙って聞いていましたが、けいを抱っこさせてと言い一緒に写真を撮っていいかと尋ねました。ご主人とわたしが何枚か写真を撮り彼女自身で、写真をチェックするとわたしにけいを戻して、彼らが旅に出る前、彼らの人生で最後となる犬がなくなったのだと言いました。「もう私たちは犬を飼うことはないの。旅をして、たまにオーストラリアに戻って孫と会ってクリスマスを何回か過ごして、そうしてあとの何年かが過ぎていくと思うの。」

 

お互いの旅の無事を祈りながら別れました。

どうやらこの場所はみんなの心を少し感傷的だった少女時代に戻してしまうようで、そしてその勢いで誰かに話をしたくなってしまう場所のようです。アジア人でひとりで犬を連れているおばねえさんは格好の話し相手なのかもしれません。    

さぁ、いよいよ、グリーンゲイブルス!!!

ついに玄関に足を踏み入れました。思ったよりもとても狭い玄関ホールです。そこにはユニフォームを着た若い男性が、

 

「ようこそ、グリーンゲイブルスへ!

残念なお知らせですが、家の内部にはカバンに入っていても抱っこしていても犬は入れません」

 

・・・と、いうわけで駐車場にもどり、4つの窓を全て全開にし、風通しの良い丘の上でけいを待たせることにしました。

 

 

(・・・なかなか入れません)

(また続く)