#28 島で出会った、動物のために働く方々

Originally posted on June 21, 2018


長年の憧れだったこの島に着いてすぐにでも行きたかったのは、キャベンディッシュをはじめとするLMモンゴメリの軌跡でしたが、けいを連れているとなるとそうもいきません。

 

プリンスエドワード島(以下PEI)での初日は、まずシャーロットタウンに逆戻りです。着いた早々ですがけいの日本への帰国の準備を済ませるため、シャーロットタウンの動物病院とカナダの政府機関、CFIA (Canadian Food Inspection Agency)のアポイントに向かいます。

 

日本の動物検疫は短期とはいえ、日本から一旦出た犬を再入国(輸入)させるためには、フォームACと呼ばれる形式の書類を必要としています。それには、

 

1.    輸出国のライセンス登録のある民間獣医師が健康診断をし、健康状況を直筆のサインで証明したあと

2.    CFIAの政府の獣医がその書類を確認してカナダ政府の公式の「輸出許可」をフォームACに国印でもらいます。

 

 

これで正式にカナダから輸出され、日本に輸入される許可がおりるということになります。

健康診断をしていただく動物病院は、日本出発前から探してアポイントをとってありました。

 

まず、PEIに正式に輸出許可を出させる機関があるかどうか確認し(小さな島ですので)そこの政府機関の動物検疫官で獣医師(The Government Veterinary)にこういった健康診断書に慣れている民間の動物病院をいくつか教えていただきました。

 

このカナダ政府PEI州所属の検疫官で獣医師の女性こそ、私とけいがこれまでのどの海外での旅であった政府機関の獣医師の中でも飛び抜けて親切、詳細、確実な方、マーガレットさんでした。完全なアイランダー(PEI に生まれて育った人のこと)で、アイランダーであることをとても誇りに思っていると話していたマーガレットさんは、この島の多くの古くからの住人のようにゲール語由来の苗字をお持ちでした。最初の問い合わせのEメールからとても迅速で的確でした。彼女から紹介してもらった動物病院のうち、一番CFIAに近くで料金も良心的なところを選びました。電話とEメールで日本から確認し、まずは民間の動物病院のアポを設定し、その後の時間帯でCFIAのアポをとりました。

 

 

手配することはこんな感じです。

 

用意する書類
- AC
フォーム(農林水産省動物検疫にフォーマットがあります)

 

フォームACに記載する内容

1. 出国(輸出)の際に記入した同様の内容:
狂犬病ワクチン、狂犬病抗体値検査結果、その他ワクチン(あれば)

2. 輸出国の獣医師免許を取得している獣医師による健康診断とその結果「狂犬病及びレプトスピラ症にかかっていなく疑いもない」という証明にサイン

 

3. 2の後、輸出国の政府機関が上記の内容を証明、輸出許可刻印

 

シャーロットタウンの一般の動物病院は、その名も「シャーロットタウン動物病院(Charlottetown Veterinary Clinic)」でした。なかなか大きな病院で、受付の方も3人、獣医師の方も複数名所属、ベテリナリーテクニシャン(日本でいう動物看護師さんに似ていますが少し資格が異なります)もたくさんいる病院でした。    

 

獣医師ケリー先生は、とても陽気でフレンドリーで、けいも尻尾をフリフリして抱っこされていました。体重・体温測定、聴診、触診とテキパキと健康診断をしてもらい、けいもリラックスしている様子でした。聴診の際に、「ほんの少し心雑音がするね、今までかかりつけに言われたことがある?」と聞かれました。会話しながら聴診していたということとと、初めての獣医師の方には指摘されないことが多いことから、少しびっくりして、ケリー先生は優秀な獣医師の方なんだなぁと納得しました。彼の意見の心雑音のレベルを確認すると、けいの日本の循環器の専門医の同じ意見でした。半年に一度専門医にかかっていることを伝えると、「それはいいね。それに体重も体型も問題ないから維持して」と言って、私の用意したフォームACにサインしてくれました。ちなみにこちらの動物病院の健康診断、書類サイン代は、なんと世界で一番安いと思っており日本よりもまだ安く、これで病院経営は大丈夫なのか心配になるくらいでした。

 

その後、車で15分ほどのCFIAのオフィスへ。大学通りのモールのすぐ近くにある小さなオフィスでした。ついにお目にかかれたマーガレットさん(先生)は、とても穏やかなとてもいい方で、けいと私をオフィスに案内してくれました。島はどう?一人で旅していて困ったことはない?などと雑談を交えて、幾つかの確認項目を終え、エンドースメント代(20カナダドル1600円くらい)を秘書の方のところで支払いました。すでに書類は作成して、カナダに来る前にEメールで確認してありましたのですぐに問題なく許可されました。PEIではそんなに動物の輸出入はないのではないかと思っていた私の考えとは裏腹で、昨今のアジアからの移民の増加とともに大変多くなっているということでした。

 

獣医師でCFIAの検疫官でもあるマーガレット先生は、日々ものすごい件数の輸出輸入検疫をこなしているのですが、終始穏やかでやさしく、けいと私が初めて訪れたPEIで良い思い出をたくさん作って欲しいと何度も言って、私とけいを玄関まで送って握手をして送り出してくれました。    

驚いたのは日本に帰国してからです。帰国してその週半ばに、

「無事に何事もなくけいが日本に入国できましたか?けいとおばねえさんが良い思い出がたくさんできたならいいけれど。」マーガレット先生からEメールが届きました。CFIAの、PEIの宝のような人だなぁと、心から尊敬します。私たちの帰国の時期をカレンダーでリマインド(アラーム)していなければできないことです。そしてそこまでする必要もないことです。私も趣味が高じて、海外のお役所相手の仕事をさせていただいておりますが、この手の書類進行は同時並行に気が狂いそうなくらい細かく莫大な量なのです。そんな状況の中でも、終始穏やかで相手の立場に立てる人、小さなこともおろそかにせず人との出会いを大切にすること、そんなことを体現している人でした。    

 


PEI
が生み出している人柄なのだろうと思います。PEIで出会った獣医師、政府機関職員の方々を思う時、暖かい想いに包まれます。なんてすごい土地なんでしょうねぇ。