#24 NEW YORK, NEW YORK - 4

Originally posted on May 30, 2018

NYでは他にもとても嬉しい出会いがありました。

 

数ヶ月前に、一緒にボランティアをしている著名な翻訳家の方に紹介されて、「日本を舞台にしたお芝居の脚本の Cultural Supervisionをしてくれないか」とお声をかけていただきました。“Cultural Supervision” は文化的な要素をチェックして日本が舞台として違和感があるところを指摘して訂正案を提示する、などをすることです。このお話は時代は現代で舞台が関西でした。例えば、結婚式などできる着物の柄や銘柄、60台にさしかかるミドルアッパークラスの出身の主人公の学歴や職歴、得意料理の種類、などを細かくチェックしていきます。お芝居の脚本を読むのは初めてでしたが、もともと活字中毒気味ですし、内容もとても面白くて80ページ弱の草稿は一気に読めました。主人公が京都の呉服屋に注文する着物の銘柄や色合いについては、母にアドバイスを求めました。母も喜んで様々な提案をしてくれ、参加できて喜んでいました。    


このお話を書いた作者の
Ruthは、子育てをしながらコロンビア大学やその他の大学で勉強し続け、日本文化にも造詣が深く、ずっとひとりで創作活動を続け、今はニュージャージー州の舞台芸術協会のような団体の広報の仕事とご自身の創作活動を並行して行っている女性です。

わたしとの仕事はすでに終わって、現在はそのお芝居は、最終的な構成チェックも終わり、キャストも決定しそろそろ本読みの段階に入るということでしたが、RuthがわたしとけいがNYに来ると聞いて、ドッグフレンドリーなカフェに連れ出してくれました。

リバーサイドの緑の中にあるカフェは、ハドソン川対岸のニュージャージーが見渡せて気持ちよく、とにかくドッグフレンドリー!わんちゃんたちへの美味しいおやつも用意されていて、注文を取りに来る人もまずはわんちゃんに、という感じ。ここ最近、お肉を食べない生活をしていたわたしも満足する「アメリカで食べた中で一番美味しかったサーモン」のサラダをいただきました。シアトルに行っていたのにNYの方がお魚が美味しいって・・・ 

Ruthは多分同じくらいの年代で、今回一緒に仕事をしたお芝居の中の話や登場人物の心理思考、創作活動で得るヒントと苦労すること、これまでのお互いの結婚生活やキャリアパスなどなど、話すことがたくさんあって、どんな年齢になっても友達というのは新しくできるんだなぁと心の中で小さく感動しました。すっかり遅くなって帰り道でも話がつきず、Ruthはわたしの乗り換えの駅で一緒に降りてひとしきり話をしてから別れました。これもNYという街ですねぇ。

 

もうひとつ、新しい出会いは、けいのインスタグラムの古くからのお友達です。古いと言ってもまだ始めて1年ほどですが、NYの食器屋さんのノーフォークテリアとその飼い主さんの写真のセンスが好きで、よくメッセージの交換などしていました。私が想像していたのはミッドタウンにある小さな食器屋さんでそこにその子もいるんだ、と勝手に思っていましたが、果たして行ってみると大変有名な、日本でも有名な従業員の方がたくさんいる、大きな歴史のあるオリジナルブランドもを持つ大人気のお店で、そのわんちゃんはいつもはオフィスには来ないということでした。恐縮してメッセージを残して失礼すると、すぐに追って連絡が。NYを離れる前にぜひもう一度遊びに来て、ということで後日けいと伺いました。お店も2階にあるオフィスも「本当に」おしゃれで、スタッフミーティングの際中にけいとその子は遊びまわり(でも会議は続行)、たくさん写真を撮りお話をして、その子の飼主さん(社長)と次回は東京で会う約束をして別れました。
前回NYに来たときにも父の命日だったため、日にちを入れた絵を購入したので、今回も何か記念にと思っていたところ、ものすごくセンスのいいアンティークの絵がお店で売られていたので記念にひとついただきました。父が喜んでくれればいいのですが。

 

 


さて最後に、皆さんにお話しようか迷いましたが、私とけいがすべてがうまくいく、とても信じられないくらいラッキーなチームに見えるような誤解を与えてはいけないと思い、少し苦労したお話を。旅はとても現実的な一面もあります。

ニューヨークで借りた家は、マンハッタンのアッパーイースト(セントラルパークの東側)からイーストリバーを挟んで浮かぶ、細長い島にありました。ここはマンハッタンまで5分以内でいけてセントラルパークまで歩ける距離なのに川があるため、比較的安い場所です。近年再開発が進んで高級そうなコンドミニアムがたくさんできている場所です。イーストリバー越しに臨むマンハッタンの景色は最高です。

借りたアパートは2ベッドルームと大きなリビングの広々とした物件で、東欧から移住してきた大学教授の子孫の女性の持ち物です。現在は彼女が自国に長期里帰りしているので、30歳前後の息子さんがAirBNBを管理されています。先に結果から言うと、この借りた家が問題で、というか実は大家さん(の息子)が問題で、結局すべての日程まで滞在させていただきましたが退去してからAirBNBと話し合い、結局賃料は全額返金されました。けいも私もまずは無事でよかったと思います。

 

息子さんはかなり頭脳明晰な方のようで、ニューヨークにあるアメリカでの名門と言われる大学の博士課程を経てその大学で研究員として勤務しておられる方なのですが、たまたま同じ大学で勤務している私の友人との照合も取れて身元は確かなようでした。しかし、ご自身の日々のストレスか何かで対人関係の距離感が崩れてしまう時があるようで、アパートの鍵をお持ちなので(当然ですが)私もけいも突然びっくりさせられることが何度かありました。詳細は控えますが、悪気はなかったのだと思いますが、もしかしたら少々精神を病んでいるようなところも見受けられ、ほかに移ろうかどうしようか迷っていました。しかし、私がNYに来た途端体調が少しすぐれなくなり、思うようにいつものように動けなかったこともあり、おおごとにせず最終日まで何とかやり過ごしました。今回私はことなきを得ましたが、このままでは将来ほかの滞在者と事故に発展するようなトラブルになってはいけないと思い、退去する際に空港でトランジットの時間などを利用してアメリカのAirBNBに詳細な英語のレポートを提出したところ、ことを深刻に捉えたAirBNBがこのアパートをサスペンド(掲載不可)にしたようでした。私は、記録に残る形ではっきり辞退したのですが、すでに私のクレジットカードに滞在費も全額返金されてきました。ストレス社会のニューヨーク、ホテル以外に泊まるということは安全上のリスクもあり、よっぽど気をつけないといけないなぁと心に刻んだ出来事でした。息子さん、悪い人ではないと思うのですけどね、本当に。少しお気の毒でした。でも、なかなかひとりと一匹で旅行するということも大変なこともありますねぇ。

 

さて、それ以外のNYはというと、滞在期間中は残念なことにお天気に恵まれず、疲れからか私の体調もイマイチぱっとせず、アパートでも心から落ち着くことができなかったという、少し残念な気持ちが残るNY滞在となりました。それでも私とけいは、NYを最大限楽しめたと思います、それは何よりも新しく出会った皆さんのおかげです。

 

 

今これを書いているのは最後の目的地カナダのプリンスエドワード島です。先日アンの家、グリーンゲイブルスに行った時、アメリカから来た70代の女性が話をしていたわたしの手を握って「10歳の時に初めて来た以来、60年ぶりにまたここに来たのよ。10歳の時に初めて訪れた魔法はもう消えてしまったけど、それでもまだ十分に感動させられるわ。」と言っていました。わたしにとってのNYも同じです。もうわたしにとってのNYの魔法は消えていました。きっと次回は、すぐには訪れないと思います。

でもいつまでも好きな街。素晴らしい人々と犬が住む街です。