#22 NEW YORK, NEW YORK - 2

Originally posted on May 29, 2018

 

けいと私が借りているアパートからセントラルパークは、地下鉄かトロリー(ロープウェイ)もしくはフェリーで行きます。といっても川を渡るだけなので、家から10分かかりません。ロープウェイで2、3分で川をイーストリバーを渡るとアッパーイーストに入ります。超がつく由緒正しい高級住宅街を抜けて公園に行くのは、東京では味わえない感じがしました。なんていうんでしょう、東京にも都心に高級と言われるエリアはあると思うのですが、そことも違うこの雰囲気。ここに住むにはお金だけでは住めない、アパートのコミュニティの面接などに合格しないと住めないエリアなのですね。マドンナが落ちてイチローが住めたアパートがあるのが一時期有名でした。

 

それでもとても庶民的な1ドルそこそこで買えるコーヒーと歯が溶けそうに甘いやすいペイストリーの屋台や、夜勤明けのドアマンやセキュリティの方々がみんなが集まってタバコを吸うコーナーなど、数十億ドル(数百億円)の世界と、私とけいの住む庶民の世界が混在している、そんな朝のアッパーイーストです。

 

けいと歩いているとたくさんの方に声をかけられます。ノーリッチを飼っている(た)人、ケアンテリアを飼っている人、見たことない犬だけど可愛いからなんていう種類なの(1日100人くらい)の人、東京を歩いているときの100倍くらいと言ってもいいくらいたくさんたくさんです。    

92歳のジョーも朝のアッパーイーストに毎朝来る人で、けいにしげしげと話しかけてくれたひとりでした。クィーンズ生まれ、NYで育ち、そして生涯NYにしか住んだことのないジョーはボランティアも入れて60年以上NY市のために教師として働いてきたそうです。高校で歴史を教えてきて、一度もそれを退屈だと思ったことはないと誇らしそうに言っていました。日本に行ったこともあると(それが戦争時だったかは敢えて聞きませんでした)、日本人は礼儀正しくて勤勉だから好きなんだと言っていました。歴史の先生らしく、私がこれからセントラルパークに行くんだというと、どの銅像とどの銅像を見てくるといいと勧めてくれました。「誰も銅像なんか見ないっていうのはわかってるんだけど」と前置きをしてから、「でも銅像はただそこにあるだけじゃないんだ、意味があって作られてその意味が下に書かれているんだ」と説明してくれました。私は必ず言われた二つの銅像を見ること、下に書かれていることを読むことを約束してました。ジョーは朝の日課の散歩の後(必ずスーツを着込むそうです、素敵ではないですか?)、一日奥さん(94歳)の面倒もみているんだよ、と言って去って行きました。

 

朝のセントラルパークに向かうひとときは、とてつもなく幸せで、公園内に入るとまたこれ以上に幸せそうな人々と犬たち。これ以上の景色をNYでは見ませんでした。

さて、偶然知り合った日本の方が連れて行ってくださった「The Hill(丘)」に話を戻しますと、そこでもうひとかた、インスタグラムのお友達が教えてくださった、けいの犬種ノーフォークテリアの親戚とも言えるノーリッチテリアの男の子に会いました。飼主さんはミラノやNYなどずっと海外でお仕事をされている日本人のプロフェッショナルのご夫婦で、大変な愛犬家、犬の世界の大先輩でした。年齢的にも同じ世代(と言わせてください)でいらして、バブルの時代に東京にいらした数少ない同胞です(笑 

 

 

ずっと海外に拠点を置いてお仕事や日々生活していると、タフでいなくてはいけない部分もあるでしょうし、また柔軟でなくてはならないこともあると思います。そういう暮らしの中で、きっと新しい出会いにもしなやかに対応されてきたんだろうなぁと感じる、とてもとても仲のよい理想的なご夫婦でした。その愛犬の可愛いこと可愛いこと、典型的な愛されて育った性格の良いわんちゃんでした。お仕事で忙しくされている中、会ったばかりの私とけいを、ビーガンバーガーのとても美味しいカフェや、トライベッカのなんとも美味しいベーカリーなどに連れて行ってくださいました。とても素敵なご自宅、ゴージャスなのにとても居心地がいい愛情溢れるお住まいに、私とけいを招いてまでくださいました。


奥様がブルックリンブリッジに歩いて渡るという私とけいに付き合ってくださったとき、初夏に差し掛かる日差しの中、これまでの人生やこの先のことなどお互いのことを渡りながら話しました。私が独身で、犬を連れて旅していると聞くと心底心配してくださり、「ダイエットして婚活してこちらに来て」と熱心に繰り返し進めてくださいました(笑 

普段だったら、日本でもアメリカでも、「結婚するしない」というトピックは個人的な話で特に踏み込まない会話の領域だと思うのですが、本当に幸せな結婚をされている人にとってはそれが一番幸せになれる方法だと思って、私を思い心から進めてくださっていることが痛いほどわかったので、気持ちの暖かさが心に染み渡りました(それに本当にダイエットもしなくてはいけないし)。本当にありがたい出逢いでした。    

朝のセントラルパークにいる人々と犬たち。

 

緑の中にいるのに逆にここはNYなんだと強く感じさせる空間でした。