#19 田舎町で取り組んでいたこと

Originally posted on May 16, 2018

これを書いているのは、ワシントン州を去る前夜です。

 

月並みな言い方ですが、大きい荷物を抱えてけいとこの地に到着したのがつい昨日というかおとといくらいの気分です。が、それから早2週間が経ち、明朝早くには次の目的地、ニューヨークへと旅立ちます。

 

あまりに旅に関係なく個人的な話なのでブログ内でお話しようか迷ったのですが、関係者の方に了解も得られたのでこの2週間、おばねえさんが取り組んでいたことについて最後にお話したいと思います。少し長くなりますので2回に分けさせてください。

 

 

ここはアメリカワシントン州のSequimという町で、おばねえさんはここで、ある資格の最終試験に取り組んでいました。ブログの初回や最初の方をお読みいただいたかはお分かりかと思いますが、おばねえさんはずっと普通のサラリーマンでした。4年前に会社員であることをやめてからは、このブログが載せてあるWebサイト(英語のみですが)をご覧頂けばお分かりになるような小さな仕事を限られた方だけに提供することをしております。そして会社員を辞めてからは積極的に、助けを必要とする動物たちの手助けをするボランティアを行ってきました。日本にはまだまだたくさんの動物たちが助けを必要としています。そしてその活動をする中で、保護され新たな家庭に行く前に、いかに適切なトレーニングを必要としている動物たち、特に犬が多いかを知りました。

ここ何年か私は何が私にとって一番適切なトレーニングメソッドか探し、心から信用するドッグアカデミーを探し、それはアメリカのアカデミーでしたので「Distance Training」(日本語で適切な表現がぴったりわからないのですが通信教育のようなもの)を選び夜間に仕事が終わってから勉強してきました。担当教官がその間ずっと一対一で、すべての学科やレポート、アサインメント、実技を指導します。ご存知のようにおばねえさんは人生が半世紀に到達する年齢ではありますので、新しいことを学ぶことは容易ではないとすぐに気がつきました。     

 

しかし、この学校のこのコースは入学するのが容易でなく、受験者の人格や動物に対する経験やスキルを、複数の方に推選して貰いインタビューを受ける必要がありました。私のことを保証してくれた人々のために(アメリカの学校ですので、英語であることが必須でしたので主に私の外国のクライアントにお願いして保証人になってもらいました)なんとしてでもやり通す必要があったのでした。自国で行われる最終試験では実地試験もぎりぎり、筆記試験に関しては恥ずかしなから2度も失敗し、最後のチャンスの3回目の前には二晩徹夜(でも年齢なので仮眠あり)して取り組み、試験自体も3時間かかりようやく合格し、そして晴れて難関の最終試験を受けにここ米国の地に来たのでした。    

こちらに来てみると、一緒に最終試験を受験する学生たちはみんなトレーニング経験豊かな方たちばかりで、アメリカで訓練を受けた韓国のミリタリーの軍用犬の訓練士、10年以上のご経験のある日本のJKCの公認訓練士、カナダの15年以上経験のあるベテリナリーテクニシャン、ドイツのパピーケアのトレーナーなどでした。各国の最終試験で悲しくも落ちてここまで来ることがかわなかった仲間もおり、なぜ私がそもそもこのコースに受かったのか(多分クライアントの皆様の少々誇大していただいた厚い推選のおかげ・・・)そして最終地まで来ることができたのか、全てまぐれのような奇跡に近かったと現地にきてから悟りました。    

10日間で私たち学生たちは、主に2つのことを実証することを要求されます。ひとつは一人ひとり与えられる課題犬とともにトレーニングスキルのリクワイアメント(要求項目)をパスすること、2つめは実際のトレーニングをこちらの現地の方々に行いそのティーチングスキル(指導する実力)を実証すること、です。

 

私たちに与えられた課題犬はなんと生後6週間のパピーでした。ラゴットというイタリアの犬種で、素晴らしいトレーナーでもあるブリーダーに、これ以上ない素晴らしい環境で大切に育てられているかわいい赤ちゃんです。くじ引きで決まった私の担当犬は「Quentin(クインティン)」でした。この小さな目が開いたばかりの週齢の子に、私たちは5個以上のBehavior(なんと訳していいかわからないのですが「行動」が近いかと)を覚えさせ、私のQue(コマンド)で一度に5つを連続で行えるまでにしなければいけません。しかもこの時期の子たちは、集中力も体力も不安定ですので、一回に行えるトレーング時間はなんと1分、そして休みながら最大でも合計で30分以内です。クインティンはとてもとてもかわいいのですが、もぞもぞ動いてばかりいるこの小さな生き物に何か教えるなんて絶対に無理、とおののいてしまいました。     

 

そしてティーチングアセスメント(教える能力の実証)も不安でたまりません。おばねえさんはアメリカの会社でマーケティングの仕事をずっとしていましたので、アメリカの方にプレゼンすることなどは何十年もやってきたことですが、企業でない犬を連れた一般の方々にトレーニングをするとなると話は別です。わからない質問されたらどうしよう、と必死で夜中に起きて朝まで本を読み続けました。教えるテーマもこちらもくじ引きで決まり、私は与えられたのは初級の「Recall to Hand Touch(手を使った遠くからの呼び寄せ)でした。これを20分の授業内で、どのようにやるかを2人の飼主さんとそれぞれが連れてくる2匹のわんちゃんに指導します。

 

それ以外に最後の実地事業として、主に「トレーナーとして必要な考え方」の授業を受けます。どうオブザーブ(観察)するか、瞬時にどう捉えるか、どうフィードバックするか、いいこと悪いことなどないということを知る、などなどです。これは後で考えるとこういうことを学ぶものなんだ、とわかったことで授業の中ではテーマを与えられて講義を受ける形ではなく、課題を与えられてこなしていくうちに結果として見つけ出して理解するという形を取られて行われました。

これらの非常に優れた内容を作成し、日本からわたしをずっと指導してくださったのは、私のおそらく生涯の担当教官であっていただきたい、テリーライアン先生です。世界的にも有名で日本でも有名な先生ですのでお聞きになったことがある方もおられるかもしれません。ワシントン州立大学獣医学部で13年間、動物行動学に基づいた動物介在活動を含むヒューマンアニマルボンド(人と動物の絆を作る)の研究に助力し、NADI(National Association of Dog Obedience Instructors) の元会長で現在は終身メンバーです。AKC(American Kennel Club)のジャッジも勤め、その他数々の要職を歴任しその間も世界中でドッグトレーナーたちの教育に勤しんでおられます。アメリカで行われるCCPDT-KA(The Certification Council for Professional Dog Trainers) 世界で認められるアメリカの組織するプロのトレーナーの資格試験は、彼女の著書が元に行われるという方です。彼女に直接指導を受けられる機会を願って世界中からドッグトレーナーたちが門戸をたたきます。テリーの個人宅で数人だけで朝から晩まで行われるこの10日間は何物にも代えがたい、信じられないくらい貴重な経験でした。

 

 

長くなりましたので次回に続きたいと思います。