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#40 けいの心臓の手術のこと - 7

Kay, May 25, 2014 at Laura Ingalls Wilder Homestead, De Smet, South Dakota

20198月、けいの10歳の誕生日を過ぎて、終にジャスミンどうぶつ循環器病センターで、けいの現状を評価してもらう日です。朝から血液検査に備えて絶食し、早めに病院に到着し順番を待っていました。

 

もしかしたらわたしの狂気的な思い込みで、大学病院の先生が言っていたように「そんなにたいしたことない」のかもしれない、いやいや違うこの状況はもう一刻も争うかもしれない、でも循環器の神様がああ言っているのにわたしは全くの素人それなのに専門家の言うことを信じないなんて・・・、いやいやわたしこそがけいと毎日一緒にいて変化を肌で感じているんだから・・・、と待っている間に考えがぐるぐるぐるぐる・・・

 

けいは丁寧に診てもらっているのか思ったより時間がかかります。3、4時間はかかったと思います。そして呼ばれて、いただいた結果は意外なものでした。

 

わたしの想定よりも、とてもとても悪かったのです。

 

ジャスミンどうぶつ循環器病センターでは、「インフォームドコンセプトとは」のお手本のような丁寧で誰にでもわかりやすい説明をしてくれるのですが、わたしにとっては受け入れがたい事実を大変丁寧に説明される、辛い時間となりました。

わかりやすいように、数値を元にグラフ化してみました。2014年から毎年ずっと下の方の数値を保っていたけいの心臓は、2019年に入ってものすごい角度でうなぎのぼりよりもすごい角度で、悪化していました。急激に悪くなる時期、まさにそれがその時でした。

左心房(LA/Ao)はつい3ヶ月前までは「ちょっと悪くなってきたね」レベルだったのに今やいつ肺水腫を起こしてもおかしくないぶっちぎりの数値。左心室もこれまでが嘘のように肥大していて三尖弁も大動脈弁も閉鎖不全、肺高血圧症もあり、ジャスミンの担当医も「これは軽度とは呼ばないレベルです」と。(大学病院からの申し送りには「軽度」と3回書いてあったのに)つい数ヶ月前のことなのに、一体何が起こったんだと愕然としてしまいました。

ジャスミンでは手術をした方がいいとかしない方がいいとかは、コンサルテーションの中で一切言われません。言わない方針だとお聞きしました。それは、執刀医の上地先生の著書の中にも書かれていましたが、すべての子に手術が向くわけではない。様々な状況、個々の特性、すべてのすべてを鑑みて最終的に飼い主が決定することだから、ということだからです。

 

人間の場合と異なり、動物の場合は本当に個体による違いが大きいようで、例えば分離不安を強く持っている子が飼主さんから離れて1週間近くかそれ以上入院することが想像以上の負担となり、術後の経緯が思わしくない場合もあるといいます。中には悲しいことに命を落とす子も。手術による危険性は、年齢や病状のステージだけで判断ができないところが大変大きいのです。上地先生もご自身の著書の中で、すべての子に手術が解決策になるとは言えないと明確におっしゃっています。

 

わたしがどの分野の専門家の方々とお仕事をさせていただく際に必ずする質問、先生ならこの場合どうしますか、に対しても担当医は慎重に言及を避け、かわりに「僕の犬は手術をする前に肺水腫で亡くなりました」とだけおっしゃいました。

 

とりあえずこの日は、ACE阻害剤だけしか飲んでいない状況でしたのでこれではいけないということで、ピモベンダンを処方されてその薬への反応を含めて1ヶ月後に状況をみることにして帰途につきました。外に出るときらきら暑かった日のはずなのに、たっぷりと日が暮れて暗い駐車場はもう誰もいなくて少しひんやりとするくらいでした。